会社を辞めて、スリランカへ「紅茶修行」に行く。英国で紅茶に開眼した著者の、1年間の単身スリランカ滞在記。
読んでいて今ひとつ伝わってこなかったのは、著者の考える「紅茶修業」と「紅茶のプロ」の概念。本書には呪文のように随所に「紅茶修業」という言葉が出てくるのだけれど、著者の目指すところが何なのかが示されていないため(多分留学当時のご本人にも判っていなかったのだろう。最後の方になってようやく帰国後の展望がさらっと語られる)、その言葉が空のまま宙に浮いている印象だ。書き手の向かうところが不明だと、読み手は落ち着かない。
一口に「紅茶に関連する仕事」といっても、その内容は様々。 農園での茶葉育成から収穫、工場での加工、茶葉のブレンドに販売。 一つ一つの職種によって求められる知識も能力も異なる。 修業記録として読むには構成が曖昧で、座りが悪く感じた。 紅茶云々ではなく、スリランカ滞在記として読むのが良さそう。
抜きんでた行動力で、著者はスリランカ各地の茶園のマネージャに直談判し「紅茶修業」の機会を得ていく。 自分なりに答えを探して、そこに至るまでの道も開拓していく。その熱量には感服する。
修業とは何だろう、専門家(プロ)とは何だろう。最近そんなことばかり考えている。
紅茶関連書籍
「 泣いて笑ってスリランカ 」
ダイヤモンド社
2006年刊
【 目次 】
- コロンボ
- ヌワラエリヤ
- キャンディ
- ウバ
- マウント・ラビニア
- ディンブラ
- ルフナ