「ワーズワースの庭で」松山猛&フジテレビ

子供の頃、毎週楽しみにしていたテレビ番組がある。
フジテレビ系、金曜23時から放送されていた「ワーズワースの庭で」。
番組は案内人のこの一言から始まる―――「ようこそ、ワーズワースの庭へ」。

[ 知的情報番組 ]と銘打ったこの45分番組は、 毎回1テーマに絞り、ある時はドキュメンタリ風に、またある時は小さなドラマ風に、自在な手法でその主題に光を当てた。

ところどころで織り交ぜられる、坂東八十助と河野景子アナウンサー(いずれも当時)のMCは 落ち着いた進行ぶりで好感が持てた。 MC役が寧ろ鬱陶しく感じられる番組も多い中、これは稀有な例だったと思う。

岡田眞澄、イッセー尾形、近藤サト、竹中直人などによる絶妙な緩急のナレーション、 英国の詩人、ワーズワースのとある詩の逆さ読みを歌詞にしたという幻想的な主題歌「シャ・リオン」、 厭味なく蘊蓄を詰め込みつつも飽きさせない、巧みな構成。 細部までが隙なく練られ、丁寧に作られた番組は この番組そのものが一つの道楽のように思わせる余裕を見せ、一種独特の存在感を示していた。
本当にいい番組だった。

実家から発掘してきた主題歌「シャ・リオン」シングルCD。歌詞の記載はない。歌い手のエリさんは2008年に他界されたとの報が。

この番組名を冠した書籍が扶桑社から出ている。
但し本書は番組内容を忠実に書籍化したものではなく、松山猛さんの随筆を主に再構成した随筆集、といった趣。テレビ番組の「ワーズワースの庭で」放映内容そのままではないので注意が必要。

奇しくも、本書第一章の主題は「紅茶」。

紅茶を取り扱った書籍紹介

ワーズワースの庭で


発行:フジテレビ出版/発売:扶桑社
1994年刊
【 目次 】
  • 道楽
  • 紅茶
  • 時計
  • おしゃれ
  • プロヴァンス
  • 和風雑貨
  • 居酒屋
  • 祇園
  • パスタ
  • 中華街
  • 銀座のバー
  • 着物
  • ガーデンライフ
※ 上記情報は私が持っているハードカバー版から引き写したもの。文庫版とは異なる可能性あり。

後継番組「ワーズワースの冒険」も1冊の本になっている

ワーズワースの冒険


ワーズワースの冒険

寺崎央+フジテレビ(ワーズワースの冒険)
発行:株式会社フジテレビ出版/発売:株式会社扶桑社(扶桑社文庫0209)
1997年刊
【 目次 】
  • はじめに
  • 銀座の洋食―――資生堂と煉瓦亭 洋食はソースが基本
  • ヘミングウェイの猫―――ヘミングウェイ・ハウス フローズン・ダイキリ
  • 朝ごはん―――近所の朝ごはん屋
  • 旅の靴と鞄―――グルカ・バッグ
  • ギョーザ五十年―――鍋貼餃子 ギョーザの街
  • 釣りへの誘い―――ハーディ フライ・タイイング
  • 楽園のタヒチ―――サンゴ礁の島々 ゲブルツトラミネール
  • ビールの達人―――地ビール 3回つぎ
  • アジアでお粥―――香港、タイ、韓国 京の粥
  • エスプレッソを淹てる―――急行マシーン グロッラ
  • ノルマンディの旅―――カマンベールチーズ カルヴァドス
  • 焼肉天国―――カルビクイとプルコギ 全州ピビンバッ
  • デーニッシュ―――生地を作る28年前日本で
  • ライカ病―――軍艦カメラ M型ライカ
  • ヤキトリが呼ぶ―――ヤキトリ旨いどころ 旨さの結晶
  • ひとり暮らしの部屋―――和にこだわる 活のいい洋風
  • あとがきにかえて
※ 上記情報は私が持っている文庫版から引き写したもの。「ワーズワースの庭で」書籍より、こちらの方が番組内容に沿ったものとなっている。紅茶は出てこない。