山梨名物、桔梗信玄餅がいつのまにか揚げパンになっていた。何てことだ。
桔梗屋さんの信玄餅といえば、山梨お土産の定番の1つ。1年に1回くらいはどこかから戴く、あのきな粉量が贅沢な餅菓子。好きだ。少し古いけれどデイリーポータルZの記事「信玄餅が詰め放題だって!」を読んで気になっていたところ、やはり向こうから来てくれた(於:横浜高島屋「ニッポン放送うまいもん祭り」)。物産展万歳。
しかしこの記事で「信玄餅詰め放題210円(※工場アウトレットセール、行列必至、2011年時の値段設定)」という無駄な事前知識を仕入れてしまったばっかりに、店頭に並んでいる信玄餅が異様に高く見える幻に襲われる。しかもばら売りなし。6個・10個入りの2種類のみ。そして気付く。私は山梨に行ったことがなく、自分で信玄餅を買ったことがないということに(つまり正価がよく判っていない)。
桔梗信玄餅は大家族だった
そんなスケールの小ささを抱え店頭でしばし悩んでいると、売り子の女性に「新製品」の揚げパンを薦められた。見れば信玄餅ファミリーって、
- 桔梗信玄餅アイス[プレミアム]
- 桔梗信玄餅アイス[クレープ型]
- 桔梗信玄プリン
- 桔梗信玄ロールケーキ
- 桔梗信玄饅頭
- 桔梗信玄飴
今回私が買ってみたのは揚げパン。1個200円。温めたりせず、常温のまま戴く。ソフトフランス風の思いのほかしっかりした食感の生地は、あまり揚げパン感はない。きな粉と黒蜜とクリームが塗られたパン生地の上に、お馴染みの信玄餅がどんと挟まっている。
味の構成要素の中で一番目立っているのはマーガリン。練乳クリーム、と書いてあるものの私にはマーガリンの方が強く感じられた。お餅自体はおいしいけれど、うーむ、パンで挟まなくてもいいのではないかという存在理由を疑うような感想に辿り着く。
一番気になったのは「信玄餅」それ自体の印象が薄いこと。思うに信玄餅=大量のきな粉と黒蜜(自分でかける、そして大抵こぼす)の印象が強いので、この要素を欠くと信玄餅らしさがかなり損なわれてしまうのではないか(両方とも入っているのだけれど、オリジナルの信玄餅と比べて割合が少ない)。まあそもそもお餅ときな粉と黒蜜で成り立っているお菓子にパン生地を追加する訳で、パン生地の分だけ信玄餅濃度は自動的に薄まるということなのだけれど。
オリジナルの桔梗信玄餅に軍配をあげたい。紅茶を合わせるなら、ダージリンやニルギリなどすっきり系のストレート。或いはアッサム、ケニアなどを濃く淹れたものをミルクティで。いずれもお砂糖抜きを推奨。