ジャムを作る際、まず材料となる果物とお砂糖を混ぜて数時間から一晩おく。そうすると、浸透圧によって果肉の水分が外に出てくる。この状態から火入れを始めると、引き出された水分によって加熱開始時の焦げつきを防ぐことができる。…でもこのジュース、そのまま飲んでもおいしいのだ。
浸み出す水分量は果物によってまちまち。林檎や苺は結構な水分が出る。ある日ふと「これこのまま飲んでもおいしいのでは…」と思いついた。然り。そもそも果肉の中に含まれていた水分、やはりおいしかった。
加熱/非加熱でシロップを使い分け
果物は、加熱/非加熱で香りが変わるように思う。生の林檎の瑞々しい香りと、タルトタタンとして1時間以上オーブン焼きした林檎の香りは明らかに違う。生の紅玉で作るシロップと、紅玉の芯や皮を中心に煮出して作る紅玉ジェリーでは、同じ紅玉を材料にしていてもその香りが異なるのだ(科学的に説明できる資料を持たず、私の主観的な意見だが)。前者はフレッシュ感、後者は果実の香りが前面に出ている印象。共に紅茶に入れても炭酸水で割ってもおいしいが、紅玉ジェリーはゼリー状であるため冷たいものには混ざりにくい。
なお少し前に「酵素シロップ」が流行っていたけれど、その定義と科学的根拠が判らないためここでは触れない。
紅玉シロップ作りに必要なもの
- 紅玉
- お砂糖(私は家にあるお砂糖を使っている。大抵上白糖。三温糖や黒砂糖など、お砂糖自体に香りのあるものを使うのも面白いと思う)
- 清潔な容器(長期保存する訳ではないので、煮沸等気を遣う必要はない。硝子製など中身が見えるものだとシロップの出来具合が判って便利)
紅玉シロップの作り方
- 紅玉の皮を剥き、芯を取る ⇒ 皮と芯は紅玉ジェリー作りに利用
- 果実を1~2cmくらいの賽の目切りにする(大きさは任意でよいが、これくらいの大きさにしておくと表面積が大きくなって水分が出やすくなるように思えるのと、シロップを作った後に残った果実をお菓子に転用する際に便利)
- 果実の重量の半分~同量くらいのお砂糖を加えてざっと混ぜ、冷蔵庫で保存
- 数時間後から水分が出始めるので、適宜かき混ぜる
糖分が高いため、果肉はあまり変色しないけれど早めに消費しておくことをお薦めする。私は3日程度で使い切るようにしている。残った果肉はそのままパウンドケーキやパンなどに焼き込むか、バター炒めにしてアップルパイのフィリングに活用。
おおよそのペクチン量についてはこの本で確認している
Preserves: River Cottage Handbook No.2
エルダーフラワーコーディアルの作り方が載っていたために買った本。綺麗な写真多数で眺めているだけでも楽しい。スロージンのレシピもあって、いかにも英国風の一冊。お薦め。
【 目次 】- Seasonality
- The Rules
- Jams & Jellies
- Pickles, Chutneys & Relishes
- Cordials, Fruit Liqueurs & Vinegars
- Bottles Fruits
- Sauces, Ketchups & Oil-based Preserves
- Useful Things