和菓子に合う代表的な紅茶葉|ダージリン(インド)

右がファーストフラッシュ、左がセカンドフラッシュ。お茶の水色(すいしょく)がかなり違うことが判る

日本で人気の高い紅茶、ダージリン。清々しく青い木質系の香りは緑茶に通じるものがある。その香りを楽しむため一般的にはストレートで飲まれることが多い。練り切りなどの和菓子に合わせるのに一押しの紅茶だ。

高級紅茶の代表格、ダージリン

北東インドのダージリン地区は、中国からの紅茶盗み出し事件の後、英国が最初に紅茶を植えた地域の一つ。ダージリン地区茶園は標高500mから2000mまでの地域に広がっているが、中でも1000m以上の高地産茶葉はその香りゆえに人気が高い。品質に加え生産量が少ないこともあり、高値で取引される代表的な紅茶葉。

ダージリンの旬は年3回―――ファースト、セカンド、オータムナル

同じく右の緑茶っぽい緑色のものがファースト、左がセカンド。茶葉の時点で色味がはっきり違う

ダージリン茶葉は年3回出荷される。簡単に説明すると、以下のような感じ。

  • ファースト(一番摘み、3月下旬~4月): 味も見た目も緑茶っぽい
  • セカンド(二番摘み、5~6月): 品質よく高価。最上級のものはマスカテル・フレーバーを持つ
  • オータムナル(秋摘み、10~11月。但し生産量は少ない): 一番摘み、二番摘みよりも紅茶っぽく香りもマイルドになるオータムナル
このうち一番質が良いとされ、珍重されるのはセカンドフラッシュ期のもの。

極上品が持つ香り、マスカテル・フレーバー

淹れた後の茶葉の様子。同様に右がファースト、左がセカンド。ファーストフラッシュは緑茶っぽい

質の良いセカンドフラッシュ期の中でも最上級の茶葉のものに備わっているとされる、卓越した香りのことを「マスカテル・フレーバー」という。20年くらい前までの本には「マスカット・フレーバー」と記載され「果物のマスカットの香り」と説明されていることが多いようだが(日本紅茶協会ティーインストラクター研修のテキストにもそうあった)、実際のマスカットとはちょっと違うのでは…と個人的には考えている(木質系の香り)。「ダージリン特有の良い香り」というように理解しておくのがいいように思う。

お薦めの飲み方はストレート

ダージリンの繊細な香りを最大限に味わうには、ストレートで飲むことをお勧めしたい。勿論お好みで牛乳を入れても問題ないが、特にファーストフラッシュは水色(すいしょく。紅茶液の色)が緑茶並みに薄いため、牛乳を入れるとかなり頼りない薄い色合いのミルクティになってしまうのが難点。薄い色合いのミルクティは、おいしそうに見えないのだ。

お茶請けを選ぶなら、和菓子が一押し

緑茶に近い香りと味わいを持つことから、ダージリンは和菓子全般によく合う紅茶の一つ。特に練り切りなどの上生菓子に素晴らしくよく合うので、是非お試しを。